はじめてのピアノ選び Vol.5 ~ラインナップについて~
こんにちは、PianoCloudの吉田です。
え~、また、だいぶん時間が経ちましたが、はじめてのピアノ選び その5です。
ここまで続けてきて、今更ですが2度目のピアノ選びのお客様って、どれくらいいらっしゃるのでしょう?
あまりいらっしゃいませんよね?
ちょっと、タイトルに無理があるかもしれませんが、このまま、突っ走ります。
今回はアップライトピアノ(タテ型ピアノ)のラインナップ(グレードの違い)についてご説明します。
新品のピアノ40万円台から200万円を超えるものまでありますが、どこが、どう違うんですか?
YAMAHAのホームページを見ますと上のほうから
となっていますが、その特徴をかいつまんでご説明させていただきます。
ちなみに、メニューが多いので、今回は長丁場です。
覚悟はよろしいですか?
それでは、ひとつずつ、ひも解いていきましょう。
ホームページの画面の順番とは違いますが先ずは YUシリーズからヤマハアップライトの中の定番といいますか、もっとも長い歴史を持つベーシックなシリーズで、ノーマルな品番としては
YU11
YU33
があります。
この二つの違いは、背の高さです。
YU11が121cm、YU33が131cm 10センチの違い下の写真をご覧ください。
高さが少しづつ違っているのがわかりますか?
背の高さは、体積の違い、響板の面積の違い、弦の長さの違いにつながります。
体積の違い・響板の面積の違いは音量に比例します。
車に置き換えれば、排気量の違いです。
これは単に大きい音が出るというより、レスポンスが敏感。
アクセルを踏んだ時にストレスなく加速してくれる、そんなイメージでしょうか。
また、私が高校生の頃は、みんなオーディオに凝っていました。
で、アンプの出力の大きい方が、太い低音が出ると言い合っていたのを私は聞かされていました。
そして、低い音を出す楽器ほど、大きくて長くないですか?
ヴァイオリンとコントラバス トランペットとチューバ見ると一目瞭然です。
ちなみに、ピアノの中をのぞくと、弦の太さと長さが違います。
低い音を出す、低音の弦は太い巻き線、そして斜めに張ってあって、少しでも弦長を確保したいという意図が読み取れます。
現在ではYUシリーズと言っていますが、私の入社したころは、今のYU11のポジションにU1A、YU33のポジションにU3Aという品番がありました。
おそらく、「U」はアップライトのUでしょう。
「1」は高さ121cmのピアノに、「3」は高さ131cmのピアノに割り当てられていて、次のAは・・・特に意味はないと・・・思われます。
この「U」と「1」と「3」はずっとヤマハの定番アップライトピアノに使われ続け年代順に羅列しますと、
U1D➡U1E➡U1F➡U1G➡U1H➡U1M➡U1A➡U10BL➡
➡U10A➡U100➡YU1➡YU10➡YU11(現在)
となり、U1Dが昭和34年から昭和40年くらいまでのモデルです。
えっ? もしかして「昭和」がわからない? 平安時代の次、縄文時代の前です。
※U1Dの前にも歴史はありますが、ちょっと省略。また、以前は高さ127cmのU2シリーズもありました。
はい、そしてそれぞれの年代にU3HやU30A、YU3という風に、131cmのモデルが存在していたわけです。
何か、うちの新人スタッフの研修をしているような・・・ちゃんとわかっているか?
続いて、YUSシリーズ
おそらくヤマハが一番、お客様にお奨めしたいのが、このシリーズではないかと。
YUシリーズから、一段、クオリティを高くしたモデルで
YUS1
YUS3
YUS5
があります。
YUS1とYUS3の違いはわかりますね?
はい、背の高さの違いです。
YUS5はYUS3と同じ高さが131cmです。
そして、カタログやホームページを見ても音の核心に触れる部分での明確な違いは掲載されていません。
でも、音を聴き比べると明らかに違います。
おそらく、響板など素材がより、吟味されているのではないかと・・・。
このあたりは、是非、店頭で弾き比べをしてみてください。
そして、鍵盤。YUS5の鍵盤は白鍵にアイボライト(人工象牙を意識しています)黒鍵に黒檀調天然木 が採用され鍵盤に手が触れた時の質感がよりしっくりときます。
さらに外観。
譜面台の形状が他のモデルと違います。
そして、譜面台を手前に引いたとき、そこにできる隙間からダイレクトに打弦した音が耳に届くトーンエスケープを採用。
音の輪郭がよりはっきりする設計です。
YUS5は最上級のピアノ。
お寿司で言えば、アワビやウニがのっかっている『特上寿司』・・・ちょっと比喩に品がありませんが・・・でもそんな位置づけです。
話をYUSシリーズにもどします。
クオリティを高くしたというが、どこがどのように違うのか?
カタログには、
●コンサートグランドピアノCFXと同等のハンマーフェルトが、さらに明るく、はっきりした音色を実現しました。
●SU7と同等のミュージックワイヤーを採用し、音の表情がより豊かになりました。
とありますが・・・・・、では視覚で違いがわかる部分をご紹介しましょう。
ハンマーフェルト
YU33
YUS3
ハンマーの芯材
YU33
YUS3
ミュージックワイヤー(最低音の巻き線)
YU33
YUS3
どうでしょう? 違いが見えてきましたでしょうか?
そしてここで質問が届きました。
では、背の高いYU33と、背は低いけどクオリティの高いYUS1ではどっちがいい音が出るんですか?
なぜ、背が低いのに、YUS1の方が値段が高いのですか?
今の子供たちの事情は分かりませんが、遠足の前に、おやつは300円までと制限された時代、「バナナはおやつに入るんですか?」という質問に似ているような・・・
全然違うような・・・。
はい、この質問には答えられません。
私の中では、もちろん決まっているのですが、やっぱり、ねっ、? 自分の耳で選びましょうよ♪
だいぶん、長くなってきました。
疲れた方は、もう、これで閉じていただいても結構です。
このあとは、ちょっと特殊なグレード、bシリーズとSU7です。
bシリーズ
一番の“売り”は何と言ってもお求め易さでしょう。
新品のアップライトピアノで
b113が40万円
b121が47万5千円 (いずれも税別)
魅力的です。
インドネシアで製造されています。
恐らく、コストを抑えるためだと思われます。
ちなみにb113は背の高さが113cm。高さの低いピアノが欲しい、と言ってお求めになられた方もいらっしゃいます。
では、中を覗いてみましょう。
YUシリーズとの違いが見えてきましたか?
明らかに違っているところがありますね。
答え合わせは、楽器センター富山で。
で、どのような音かって?
こちらも音は実際に弾いてみましょう♪
インテリアピアノ
言葉通り、ピアノを設置する部屋の雰囲気や、調度品に合わせてコーディネートしていただきます。
ここで、コーディネートはこうでねェと、とチャチャを入れたがるのは典型的なオヤジの悲しいサガです。
私も、何台もお世話させていただきました。
先ず、お客様が黒いピアノは嫌!と言われるケース。
本当かどうかはわかりませんが、黒いピアノが売れるのは日本だけ。
ヨーロッパなど、西欧諸国では、タテ型ピアノの大部分は木目のピアノだと聞いた記憶があります。
でも、日本の家の様式も変わってきました。
黒いピアノが明らかに浮いてしまう部屋があります。
私の同級生はログハウスみたいな家を建てました。
黒いピアノは違和感のカタマリになりそうで、奥様がこのインテリアシリーズからピッタリの木目を選ばれました。
最後はこちらに締めくくっていただきます。
SU7
これはもう、ただただ、特別!
当然、値段も特別! なんと!240万円(税別)!
一般的なアップライトピアノが3台買えてしまいます。
何が違うのか?
一番違うのは素材でしょう。
弦・ハンマー・響板をはじめ、ありとあらゆるところに選び抜かれた素材が使われ、最高の音を求める、というこだわりの結晶と言えます。
YUS5が黒毛和牛の肉を使った料理だとしたらSU7は品評会でチャンピョンになった牛の最上級の部位を使った料理です。
ただ、あまりに高級すぎて、私は販売したことがありません。
同じ金額を支払うなら、グランドピアノのC3Xをお奨めしてしまうからです。
ということは、このピアノは最高の音が欲しいけど、ただ、ただ、残念ながらグランドピアノを置くスペースがない、という方がお求めになるピアノということになりますかな?
実物の画像はありません。うちの店にはないからです。
でも以前、実物を弾いたことはあります。どんな音かって?
ご想像におまかせいたします。
ここまで読まれた方、お疲れ様でした。
ピアノを習っておられる方ですか? そうですか、やっぱり、集中力と、その持続力が素晴らしい!
是非、お店でお会いしてお話がしたいです。。
楽器センター富山 PianoCloudでお待ち申し上げます。
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