ROOTE 8 Saxophone _ model “AUTHENTIC”
2020年に製作、販売を開始してからROOTE8サクソフォンの中でもいちばんの人気を誇るシリーズ ” AUTHENTIC (オーセンティック) ”
素敵なオールドファッションを意識してトラッドに準ずる「 オーセンティック 」と言うワードがモデル名の由来です。
どことなくジャズシンガーのようなハスキーで渋い、「おしゃれでセクシーなサウンド」を有しており、既に存在する既存のメーカーの楽器とは一線を画しております。
またサウンドだけでなくルックスの面でも遊び心を大切にして現代の楽器ではみられないレトロなサックス に使われていたデザインを採用するなど「 見て楽しむ魅力 」も兼ね備えています。
今回の記事ではそんなROOTE8 Saxophone ”AUTHNETIC”の魅力をご紹介いたします。
▼目次_menu
1・そもそもROOTE 8ってどんなメーカー?
ROOTE 8は2019年5月にデビューした私たち開進堂楽器の管楽器専門レーベル、Brasstekのプライベートブランドです。
北陸3県に展開しており、総勢12名の管楽器専門の技術者が日々管楽器の開発、調整、販売を手掛けております。
「いつでも、どこでも。ずっと吹いていたくなるサックス」をコンセプトに製作したROOTE8のサックスは技術者がひとつひとつ手仕事で仕上げていっているためなかなか大量生産ができません。
ブランド立ち上げ時は様々な困難がありましたが、今ではありがたいことに地元の北陸を中心にアマチュアからプロまで様々なサックス愛好家の方にご使用いただいております。
2・お洒落でセクシーなサウンドの秘密
サックスの音の違いは一体どんな要素で変わるのか?
私たちは開発に至るまで多くのサックスの販売、調整、改造に携わってきました。
「ここをああしたらそうなる」など多くのセオリーをインプットしてきたことによって自分たちの作りたいサックスの音色を生み出すことができました。
その中でも着目したのが管体の表面処理です。
管楽器の多くは「管体の表面がどうなっているか」で大きくサウンドが変わることをご存知でしょうか?
この拡大したサックスのベルの写真、管体の表面が曇りガラスのように さらさら しているのがわかるでしょうか?
このさらさらとした仕上げを「サテン仕上げ」と言います。
語源としては布のサテンから来ているようですが管楽器業界では管体の表面をさらさらに仕上げた物のことを指します。
このサテン仕上げを行うと管体表面に凸凹が無数に発生し管体の表面積が増えるためいろんな種類の音(倍音:良い意味での雑味)を出せるようになります。
▼図解するとこんな感じ。。
この「倍音」がAUTHENTICのお洒落でセクシーなサウンドを作るポイントになっています。
しかし、ただサテン仕上げにするだけでは もさもさ したサウンドになってしまうこともあります。
なので私たちは1940年代以前に製造されていたサックスからヒントを得て
・管体に銀のメッキをかけ、その上にサテン仕上げを施す
という選択を行いました。
現在、多くのメーカーで取り入れられているサテン仕上げは管体にラッカーと呼ばれる樹脂を管体表面に吹き付け、その上にサテン仕上げを施します。
樹脂は金属より柔らかいので簡単にサテン仕上げを施すことが出来、効率的なのです。
ただその代わり音の奥行きが少なく面白味のないサウンドになってしまいがちです。
私たちは銀の特色である「きめ細かく滑らかで柔らかいサウンド」とサテンの持つ「倍音の多い渋くセクシーなサウンド」を掛け合わせました。
管体の上に銀メッキ加工を行いサテン仕上げを施す。
これはヴィンテージのC.G.CONNに見られた手法です。
管体表面の仕上げ以外にも様々なチャレンジを行いました。
■しっかりとした高精度のネックスクリュー
しっかりと締め付けることができる銀メッキ加工を施した真鍮製の削り出しのネックスクリューです。
これによってしっかりとした低音の鳴り、程よい重みの吹奏感が得られます。
■音に芯を出すためのサムフック
銀のメッキにサテン仕上げだけではやや音の輪郭がぼやけてしまいがちです。
そこでより音の輪郭、芯をぶれないようにするためにネックスクリューと同じく銀のメッキ処理を施した真鍮製のサムフックを採用しています。
これによって明瞭な音楽表現ができるようになります。
またネックススクリューと同じ素材に仕上げたのは音色の統一も狙っての設計です。
これらによって私たちが目指すオーセンティックなサウンドをデザインすることができたのです。
▼ROOTE8 AUTHENTICを使ったLIVE MOVIEです。
<br>
3・ヴィンテージのサックスに敬意を評したデザイン
サックスは管楽器の中でのいろいろな「見た目」バリエーションが存在する楽器です。
多くの方が街中で古い車、MINIやbeetleがなんかが走っているのを見かけると「おしゃれだな〜」と思うはずです。
今の世にはない古き良きデザインは確実に存在するのです。
このAUTHENTICでも各所にレトロなデザインが盛り込まれています。
■JAZZ黄金期を彷彿とさせるオクターブキイ
昨今のサックスに採用されているオクターブキイの形状は1950年ごろに発売されたサックス SELMER社のMARK6が元になっております。
しかし私たちが目指したところはそれよりも前。
1920年代から製造されていたCONNやSELMERのオールドモデルです。
左の写真をご覧ください。
現代のサックスでは感じれない趣がそこにあります。
■バー スタイルのキイガード
現代の楽器ではほとんど採用されていないバー(金属棒)スタイルのキイガードです。
現代のサックスに使われているキイガードは金材をプレスして完成というこれまたコスパの良い製造方法をとっていますがこのキイガードは手間を惜しまず金材の真鍮棒を曲げ溶接し製造されています。
この無駄のない流線的なデザインの裏には作りたいもののために手間を惜しまない大人の遊び心が隠れています。
4・操作のしやすさのポイント
ROOTE 8 のAnchertではお客様の手の形に合わせてテーブルキイとパームキイの位置をある程度変更することができます。
キイのレイアウトの好みは人それぞれ。
お客様のご要望に応じて調整しております。
手の小さな方でも容易にテーブルキイや高音の左手サイドキイの操作ができるように小指が届きやすい位置にセッティングすることが可能です。
5・AUTHENTICシリーズの長所と短所
ここまで読んでいただきAUTHENTICの魅力をご理解いただけた方も多いと思います。
ただニッチな楽器を求めた結果、ややネガティブな面もございます。
正しくご理解いただけた方にご購入いただきたいのでこちらもご紹介いたします。
<短所>
▼おしゃれで色っぽいサウンドを追い求めた結果、ノイジー(雑味の多め)なサウンドの要素が強い。
ノイジーな響きの多い楽器はJAZZやPOP、歌謡曲などで好まれますが吹奏楽では嫌われる傾向にあります。
そのため、澄み切ったクリアな音色を求めたれるジャンルでは雑味を消してくれるようなマウスピースやリガチャー、リードのセッティングが必要。
▼自分の周りでの鳴りを重視した結果、音の遠投性が少し弱め
AUTHENTICはJAZZやPOPなどのライトミュージック寄りなジャンルでの使用を想定して製作いたしました。
これらの音楽ジャンルのステージは基本的にサックスでもマイクを使用して演奏します。
そんな環境を前提にして音を遠くまで届けることはマイクの機能にお任せしてサックスでは奏者の周辺へ最高の鳴りがするように設計しました。
そのためマイクなしで大きなホールでかつ大人数の中で演奏しなければいけないシチュエーションでは少々力不足を感じるかもしれません。
これらの観点からクラシック寄りの吹奏楽での使用は不得手かもしれません。
何かに特化するには何かを諦めなければいけない。
そんなコンセプトで下記の長所が生まれました。
<長所>
・おしゃれでちょっとハスキーな色気のあるのサウンド
・ガツンとしたパワーよりも小技が光る演奏性
・パワー控えめと言えどJAZZ BARなどの室内ではNOマイクで十分通用するポテンシャル。
・囁くようなサブトーンからキレの良いサウンドまで音作りの幅は広めです。
・他のメーカーでは味わえないオールドファッションなルックス
6・プロミュージシャンのレビュー
北陸を随一のジャズサックス奏者、濱西公博氏にご愛用いただいております。
2021年5月に行われましたライブイベントでご使用いただいているROOTE 8 AUTHENTICのレビューをいただきましたのでご紹介させていただきます。
濱西公博 Kunihiro Hamanishi
富山・石川を中心にプレーヤー、指導者として勢力的に活動中。
ジャズコンボ「FLAT FIVE」をメインに、ジャズコンボ・ビッグバンド・フュージョンバンドに参加。
著名ジャズミュージシャン達とライブ共演や、セッションを重ねる。また、近年はブルースバンド・ゴスペルバンドのサポートも努めるなど、ジャンルも多岐にわたる。
ジャズビックバンド「Live Design Jazz Orchestra」を発足し、コンサートマスターを努める。
著書:「アルトサックスで吹くビートルズ」 (シンコーミュージック刊)
▼Review
「2020年からROOTE 8のAUTHENTICを吹かせてもらっています。
今所有しているモデルを手にする前に初代モデルのAnchertを吹いたときにそれなりに良い感触はあったのですが、この楽器はもっと良くなる!と思って開発担当者に無理難題をふっかけました。笑
そこからたくさんの改良を行ってくれて誕生したのがこのAUTHENTICです。
今ではこの楽器をライブなどでもメインで使っています。
この楽器に出会う前はSELMERのMARK6やReferenceの限定モデルをよく使っていたのですがこのAUTHENTICを吹き始めてからは一年くらい全く使っていないです。
それくらい気に入っている楽器です。」
*2021.5 UNESCO 国際JAZZ DAY @金沢 LIVE MCにて
ROOTE 8 のサックス、Model AUTHENTICの魅力が伝わりましたでしょうか。
先にもあった通りAUTHENTICは大量生産できないサックスです。
一人一台スマートフォンを持ち、電子決済で買い物ができる様になった現代。
そんな中でもモノクロームのスクリーンの中でローマの街を闊歩するオードリー・ヘップバーンに憧れる。
そんな気持ちを共有できるサックス愛好家に使っていただきたいサクソフォンです。
▼STOCK LIST
ROOTE 8のサックスは店頭だけでなくWEBSHOPでも販売しております。
「SOLD OUT」になっている商品で再販をご希望の場合は再製作することも可能です。
お気軽にお問い合わせください。
<お問い合わせ>
ROOTE 8 製作担当:丸七夏樹(Natsuki Marushichi)
mail maru-n@kaishindo-music.co.jp
タグ: AUTHENTIC, JAZZ, ROOTE 8, SAXOPHONE, 白いサックス