【リペアブログ】テナーサックスの調整★続編
こんにちは、管楽器フロアーの丸七です。
今日は先日ご紹介したテナーサックス、YTS-62の調整修理の続きです
【前回の記事】
【管楽器リペア】テナーサックスの調整~前編~
さてさて、前回は掃除や洗浄など調整の下準備を行いました。
ここからが調整の本番です。
これから楽器を組み立てていきます。
管体に組まれているキイはすべて何らかの金属製のネジで固定されています。
キイも金属。
ネジも金属。
金属同士がこすれ続けると少しづつ削れていきます。
そんな摩耗を防ぐためにオイルを注します。
まずはネジの入る穴にオイルを入れます。
つぎにシャフトを仮通して穴の中にオイルをなじませます。
キイの動きをよくするために管体表面に接するバネにグリスをつけ組み立てます。
オイルやグリスは摩耗を防ぐためだけでなく、キイのガタツキをやわらげたり、キイのノイズを減らしたり、演奏時のキイの振動を楽器にそして音に反映させたりなどなどとっても大切な役割があります。
「たかがオイル。」と侮ってはいけない大事なポイントです。
他のキイも組み、組んだキイのタンポを調整していきます。
トーンホールを塞げていないタンポ発見です!
F#のタンポがきちんと塞がっていません。
これを直します。
まずキイを開きます。
キイを開いたまま、ガスバーナーでキイの表面を温めます。
キイとタンポをくっつけている「シェラック」と呼ばれる熱で溶ける接着剤の仲間を溶かしています。
シェラックが解けたころを見計らって、キイが熱いうちにトーンホールとタンポの間にヘラを挟んでタンポの塞がり具合を調整します。
するとどうでしょう、きちんと塞がるようになりました。
ものすごく弱い力でキイを抑えてもちゃんとトーンホールが塞がるように調整しなければいけません。
このタンポ調整が出来るようになるにはたくさんの練習必要です。
このように「きちんと塞がっていないタンポをちゃんと塞がるようにする事」
を
『タンポ調整』と呼びます。
ちなみにタンポがきちんと塞がっていないと、
・音が裏返って勝手にオクターブがあがってしまう。
・輪郭のないぼやけた音になってしまう。
・力を入れて押えないとうまく演奏できない。
・強くリードを噛まないとうまく発音できない。
などなど。。。
良くないことがいっぱいです。
次はバランス調整です。
Aキイを押すとB♭キイが一緒に塞がります。が、今はAキイが先に塞がってしまってB♭キイが少し浮いてしまっています。
B♭キイを押さえているAキイのアームを、、、
「えい!」
とやります。。。
(両手を使うので写真を撮れませんでした。。。)
すると、綺麗に二つとも同時に塞がりました。
このように
「同時に動くところを正しい状態に整える事」
を
『バランス調整』
と呼びます。
完成しました(^^
今回は掃除や洗浄、錆取りに時間をとられてしまいましたが大体1~7日で仕上がります。
「最近うまく吹けないのは自分の練習不足のせい。。。」
本当にそうでしょうか?
もしかすると楽器のせいかもしれません。。。
健康診断は無料で出来ますので気になる方は楽器をお店にお持ちください◎
お待ちしております。
今日のブログスタッフ★
NATSUKI MARUSHICHI
#永遠の25歳
#料理が得意
#SAXが好き
#はちみつも好き
タグ: 管楽器リペア, 管楽器修理, 調整