【リペアブログ】ヤナギサワ初のアルトサックスA-3を整備しました!
YANAGISAWA初のアルト『A3』
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現在のヤナギサワのWOシリーズに至るまで数多くのシリーズが作られてきました。
それらは日本国内だけでなく海外でも非常に高く評価されておりブラステックでも多くのオーダーをいただいております。
今回のモデル『A3』オリジナルラッカーの残存率の高い綺麗な個体です。
1956~1966年の間に製造され続けヤナギサワサックスが初めて製作したアルトサックスとしても有名です。
*詳しくはYANAGISAWA Saxophone Official Website | 会社沿革 をご覧ください。
JAZZの巨匠チャーリー・パーカーなどの使用で有名なCONNの雰囲気を感じさせるバタフライスタイルのキイレイアウトとなっております。キイガードの形状が特徴的ですね。
今回はオーバーホール(全てのタンポ/フェルト/コルクの交換とクリーニング、凹みなどの修正)を行いました。
A3 の整備
クリーニングと状態の確認
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まずは分解しながら管体の埃やゴミを取り除き、ラッカーの劣化/変質の具合を確認していきます。
ラッカーの状態によってその個体に合ったクリーニングを行うためです。
今回はラッカーの変質が見られなかったので長年の汚れを落とすため水洗いを行います。
音孔についても同様に確認していきます。
長年眠っていた楽器なので音孔に緑錆が発生しています。
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これがあるとタンポを交換しても塞がりが悪くなるので除去します。
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また当時の楽器の製作精度は現代ほど高くないため音孔の平面度合いが高くない箇所も見受けられます。
緑錆の除去に合わせてトーンホールも調整していきますが必要以上に音孔を削りたくはないので慎重に作業を進めます。
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ごらんの通り綺麗な音孔になりました。
私たちも日々サックスを製作する上でヒシヒシと感じているのですが、音孔は木管楽器の中でもとても重要な部分です。
この音孔をしっかりと仕上げることによって楽器の性格・性質は大きく変わります。
管体の洗浄を行います。
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ラッカーの変質はないと言えど現代のサックスのカッラーほど強度はないため水、洗剤、手、革などで丁寧にクリーニングを行っていきます。
修理とパーツの交換
管体のクリーニング後には凹みの修正を行いました。
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70年近く前に製造された楽器にもかかわらず凹みは1ヶ所のみ。
大切に保管されてきたことが窺い知れます。
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管体の中に芯金と呼ばれる金棒を通し凹みを擦り出していきます。
緩やかな凹みだったので綺麗に治りました。
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続いてはタンポの交換です。
買取時は社外製のタンポだったため、発売当時と同じA-3サイズ用のヤナギサワ純正タンポに交換しました。
タンポはシェラックと呼ばれるホットボンドのようなもので接着させれています。
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タンポの裏面にシェラックを溶かして塗り付けキイカップにはめ込みます。
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その後キイを管体に組み込んでいき音孔とタンポが適切に塞がるようバーナーで炙りながら調整していきます。
このタンポを合わせる作業が私たち技術者の腕の見せ所です。
キイについているコルクも交換していきます。
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これらのコルクの厚みでキイの開きやキイ同士の塞がり具合を調整していきます。
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細々とした作業が続きます。
そんなこんなで組み上げた楽器すぐに音はなりますが本調子ではありません。
パッドやキイコルクなどが楽器に馴染むまで時間がかかるため変化の生じたタンポやバランスを繰り返し整えることが大切です。
試奏してみました【動画】
僕が試奏した印象だと「CONNみたい!」が一番の所感でした。
1台でCONNやBuescherなど当時のサックスたちの面影を感じる事ができて面白いです。
全盛期のCONNの音孔はロールドトーンホールを採用しておりますがこのA3ではセルマーと同じくストレートの音孔を採用。
それによって心地よい音の重みを実現したのかもしれません。
オンラインストアにて詳しくみる
YANAGISAWA A3