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OOPEGG(オーペッグ)の ススメ

2025/12/18 08:02:00

ヤマダです。

弊店Blue Guitarsがおすすめするブランド「OOPEGG(オーペッグ)」について、今回もヤマダの私的見解満載で紐解いていこうと思います。

※2025年12月、OOPEGGデザイナー/プロデューサーの田鍋さん(左)と私(右)

OOPEGG(オーペッグ) とは

2019年初頭に日本国内にて発足し、同年5月のサウンドメッセ in 大阪にてローンチされました。(2019年のサウンドメッセは事実上コロナ前 最後のメッセとなり、この後2023年まで開催は中止されます。)私がOOPEGGの存在を知ったのはNAMMShow 2020の頃だったと思います。「Neo Bizarre(ネオビザール)」というコンセプトを掲げてデザインされた斬新なスペックや外観。さらにそれが日本ブランドで国内製造のギターであることは非常に挑戦的で、Out Of Place(=場違いの)からの造語のブランドネームにも集約されて感じました。まさにOne of a kind(=唯一無二)を地で行っており、楽器店 Blue Guitarsとしても、弊店オリジナルの「stilblu(スティルブルー)」を製作していた私たちとしても刺激的な出会いであったことを覚えています。

当時はインスタグラムのギター演奏動画が過熱し始めていたころで、今やひとつのジャンルとなった「Neo Soul(ネオソウル)」のタグ(#NeoSoul)に関連する動画をよく見ていました。その中でもOOPEGGの存在は国産ブランドの中で特に異彩を放ちいち早くネオソウル・ギタリストにリーチしていました。海外ではJohn Mayerのサポートでも有名なIsaiah Sharkey(アイザイア・シャーキー)やKerry “2Smooth”(ケリー・トゥ・スムース)が・・・

日本国内ではソロギタリストとして世界的にも確固たる地位を築いている井草聖二さん、#NeoSoulのタグを有名にしたギタリストの一人でもある磯貝一樹さん(New Jeans、Nao YoshiokaなどのR&Bフィールの強いアーティストのサポートでも有名)などにもブランド発足当初より選ばれていました。

女性ギタリストにも支持を集めており、Tiana Ohara(ティアナ・オハラ)、Tash Wolf(タッシュ・ウォルフ)、Melanie Faye(メラニー・フェイ)など。Lo-FiでNeo Soulなプレイヤーからシンガーソングライター/ギタリストまで幅広く使用されています。

OOPEGG / Trailbreaker Mark-Ⅰ & Mark-Ⅱ (トレイルブレイカー・マークワン&マークツー)

OOPEGGのギターモデルは「Trailbreaker」というモデル名。モデル名の後に Mark-Ⅰ , Ⅱ, Ⅲ, Specialなど バリエーションがあります。その中でもMark-Ⅰ(左)とMark-Ⅱ Tremolo(右) にフォーカスして、その特徴を解剖したいと思います。(Mark-Ⅱにはトレモロなしの Hardtailのバリエーションもありますが今回はトレモロありでの比較)

MENU

  1. オリジナリティ溢れるボディデザイン
  2. 2 : 4のペグレイアウトのヘッドストック
  3. ミディアムスケールのネック & ネックジョイント
  4. サウンドの肝ともいえるブリッジ &トレモロ
  5. ピックアップのヴァリエーション +フェイズスイッチ
  6. 3WAY PUセレクター +センターPUのミニスイッチ(3-ON)
  7. トーンをPULLでキャパシターON(=コイルタップ)
  8. まとめ ~ こんな方におすすめ!

① オリジナリティ溢れるボディデザイン

オフセットしたオリジナルデザインのボディはMark-1(左)がソリッドでエルボーとウエスト共にコンター加工があり、抱えた際のホールド感の向上と軽量化を獲得。Mark-2 Tremolo(右)はセミホロウ(シンライン構造)でエアー感を多く含みます。一方でコンター加工はされておらず、より中空構造を確保し意図したサウンド重視のデザインのように感じます。どちらも日本人でも抱えやすいコンパクトさがあり、日本人によるデザインであるが故のサイズ感が嬉しいです。

② 2 : 4のペグレイアウトの角度ありヘッドストック

Mark-1(左)Mark-2 Toremolo(右)共に同形状、2 : 4のペグ配置が成せるオリジナリティのあるヘッドストックデザインは唯一無二。デザインのみならず低音側の5,6弦がナットよりある一定の距離感があることは低音をクリアに締まらせる効果があると思います。1~4弦は6連だとリバースヘッドの位置関係で、弊店のstilbluもリバースの良さを取り入れており、高音弦側のテンションを少し緩め粘りを生み出す構造だと思います。ヘッド角もついており、ミディアムスケールでは不足しがちな弦のテンション感も確保する構造です。

トラスロッドもヘッド側からのアジャストとなっておりGibsonに代表されるミディアムスケールのギターからのトラッドデザインを踏襲しているようにも感じます。加えて、GOTOHのロックペグ MG-Tが標準で、弦交換の利便性に加えトレモロやチョーキングによる弦のたわみによるチューニング変化に対抗する機構を搭載しています。

③ ミディアムスケールのネック & 独自の4点ネックジョイント

Mark-1(左)Mark-2 Toremolo(右)共に同形状、ミディアムスケール(628mm)でフェンダー系のロングスケール(648mm)と比べると弦長(ナットからサドルまでの距離)が20mm短いため身体の小さい日本人でも運指がしやすい。マテリアルはメイプルとウォルナットの5ピース構造で、ネックの反りに対して高い対候性を獲得。ミディアムスケールの構造的デメリットを払しょくしています。

加えて、ネックのジョイントプレートはオリジナルパーツで、4点ボルトオンながら、3点のみをプレートでホールドし、1点はヒールカットした段落ちでホールドする構造。レトロさと機能性を併せ持つデザインはネオビザールの所以。

④ サウンドの肝ともいえるブリッジ &トレモロ

Mark-1(左)とMark-2 Toremolo(右)の基本的な設計思想の核となる部分がブリッジ/トレモロにあると思います。

Mark-1(左)はFender JAZZMASTERに代表されるフローティングトレモロをアップデートしたものを採用。Descendant Vibrato(トレモロ)とHalon #1060 Steel Saddle & Bridge(ブリッジ)のコンボでフローティングトレモロならではの表現を確保しつつ、オリジナルの欠点を解消したパーツセレクトで弦落ちやチューニングの不安定さを解消しています。私はこのトレモロだからこそ表現できるヴィブラートがたまらなく好きです!

Mark-2(右)は国産GOTOH NS510T-FE1を採用し2点指示でサドルもストレスの少ない構造のモダンなタイプ。そこに「Xoticのススメ」でも特筆した「Raw Vintageのスプリング」でセットアップされており、心地よい細やかなアーミング時のテンション感と微細なコントロール、そして基本的なサウンドに粘りを与えています。

⑤ ピックアップのヴァリエーション +フェイズスイッチ

さらにMark-1(左)とMark-2 Toremolo(右)の違いがはっきりしてきます。

現行モデルでは国産 Euphoreal製とアメリカ製 Porter Pickupsのカスタムピックアップを採用しており、Mark-1は3ピックアップH-S-Hが基本設計。Mark-2 Toremoloは2ピックアップのH-Hが基本設計。共にフロントとリアをHumbucker、P-90、Filter’Tronタイプに変更可能。Mark-1はさらにフェイズスイッチが上部に搭載されておりフロントとリアの位相を可変可能。そのスイッチングでインフェイズ(同相 / 一般的なサウンド)とアウトフェイズ(逆相)のサウンドをセレクト可能。個人的には通常のHSHとHHのサウンドがバランスが取れていて使いやすい印象です。逆にP-90を混ぜると少し暴れる感じに、Filter’Tronだと繊細なクリーンサウンドに特化される印象があります。

⑥ 3-WAY PUセレクター +センターPUのミニスイッチ(3-on)

サウンドの本丸とも言える部分、ピックアップセレクターは共に3-WAY(スリーウェイ)でMark-1(左)はレバースイッチ、Mark-2 Toremolo(右)はトグルスイッチ。しかしMark-1は3ピックアップなので3-WAYではポテンシャルが発揮されないのでは!?と思う事なかれ。

通常のレバースイッチのセレクターはフロントとリアの切り替え(F/F+R/R)で、加えてセンターピックアップ用のミニスイッチがジャック近くにあり、これまた3-WAY(3-ON/スリーオン)となっており「センターOFF / センターMIX / センターONLY」から選択可能。

センターピックアップ」を「レバースイッチのセレクターで選んだピックアップ」に「パラレル(並列)」で交ぜることができます。これによって通常のH-S-H、P90-S-Hでは出力のできない「(F+R)+ センター」のハーフトーン (パラレル/並列)のサウンドが出力できます。

ハーフトーンのハーフトーンとなんだか訳がわからないかもですが、このサウンドがかなり使えます。歴史的にはCornell Dupree(コーネル・デュプリー)がこのサウンドを愛用し、彼のシグネイチャーモデルでもあったYAMAHA PAC-1512CDにも似た機構が搭載されています。

OOPEGGの取り扱いを弊店Blue Guitarsが始めた頃に上記のサウンドも踏まえて撮影した試奏動画もサウンドサンプルとしてぜひご覧ください。共に私が弾いていますが、センターピックアップが絡んだ際のサウンド、ハムバッカー、P-90のサウンドの違いも確認できると思います。

⑦ トーンをPULLでキャパシターON(=コイルタップ)

まずMark-1(左)のコントロールは1ボリューム/1トーンとMark-2 Toremolo(右)は1ボリューム/2トーンとコントロールに違いがあります。トーンコントロールをPULLする(引っ張る)とパッシブ・キャパシター・フィルターがONになります。結果的にはコイルタップをしたサウンドに近いサウンドになり、パワー感が減少しよりシャープなシングルコイルの様なサウンドに変化します。

Mark-1(左)は1トーンなのでフロントとリア両方に効きます(ハムバッカーのみでP-90では無効)。これに前述のセンターピックアップのミックスも交えると、全部で13種類のサウンドバリエーションになります。(H-S-Hの場合。P-90が絡むとタップ分少なくなります。)ここに前述のフェイズも加えるとさらにバリエーションが増えます(笑)

Mark-2 Toremolo(右)は2トーンなのでフロントとリアそれぞれで切り替えられます。Mark-2 Toremolo(右)はセンターピックアップがないので、その分フロントとリアの片方だけ、または両方でコイルタップを使用するか?しないか?でミックス時は4種類、単独の場合で4種類、計8種類のバリエーションを持たせています。(H-Hの場合。P-90が絡むとタップ分少なくなります。)

※ご興味のある方は以下のピックアップのバリエーション表も参考ください。(Mark-1はH-S-H、Mark-2はH-Hの場合。Humのコイルタップの分増えます。)

H=Humbucker ON / S=Single Coil ON

Mark-1フロントリアセンター
1H
2HH
3H
4S
5SS
6S
7HS
8HHS
9HS
10SS
11SSS
12SS
13S
Mark-2フロントリア
1H
2S
3HH
4HS
5SH
6SS
7S
8H

⑧ まとめ ~ こんな方におすすめ!

多彩なポテンシャルを秘めたOOPEGGのギターですが、すべての機能を使う必要がない方も多いと思います。一方で使用して強く感じた事は、普段聴きなれない音色がフレーズのイマジネーションに先行する感覚があったことです。この音だったらこんな風に弾いたらかっこいい!の引き出しが増える感じで、普段だと出てこないフレーズやアプローチをしたくなるエフェクターもいつもと違う効果に変えたくなる、など新しい自分を発見できる感覚がこのOOPEGGの面白いところ。自分に合ったOOPEGGのサウンドをぜひ見つけてください。

そしてこれだけ尖っていますが汎用性も引き出すことができます!使ってみるとどのジャンルにもアジャスト。フェイズスイッチ、センターピックアップのミックス、パッシブ・キャパシター・フィルター等の特異を切り離して考えると結構シンプルに使い勝手の良さも残ります。

ネオソウル/R&B, Hip-Hop がお好きな方はもちろん、ロック、ポップス、ファンク、カントリー、ブルース、ジャズと幅広いジャンルの方で人とは違った個性を求める方にお勧めしたいブランドです。

OOPEGG [オーペッグ] のご購入、セレクトオーダーのご相談は、正規ディーラーの弊店 Blue Guitarsにお任せください。

Blue Guitars – Youtube Chnnnel(OOPEGG 再生リスト)にて、OOPEGGの試奏動画も随時アップしております。ぜひこちらもご視聴ください。

弊店はOOPEGGの良さを実際に体験していただくために、アーティストを招聘したインストアイベントも行っています。その時の模様も写真と動画で綴ってあります。アーティストによるOOPEGGのポテンシャルをぜひご覧ください。

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Written by
Hiro Yamada

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