【読みもの】楽器の木部の割れに注意!慣らし吹きの話。
こんにちは、こんばんは、ごきげんよう。ブラステック白山の丸七です。
春の終わりのこのシーズンは新しく吹奏楽部に入った新人さんが楽器を買いに来る季節でもあります。
新しく買った楽器は吹くのがワクワクしてとても気持ちがいいですよね!
でもご注意を!新品の木材でできている楽器は割れやすいのです。
そんな楽器は最初の『慣らし吹き』が大切です。
今日はその慣らし吹きについてお話しします。
<目次>
慣らし吹きって何?
「慣らし吹き」には二つの目的があります。
1_楽器の管体木部を湿気(水分)にゆっくりと馴染ませ割れを防ぐ
クラリネットやオーボエ、ピッコロなどの楽器はグラナディラやローズウッド、モパネなど木材で作られているものが多いです。
木材は加工や音色の面から管楽器に適している素材なのですが「湿度」や「気温差」で木部の割れが生じてしまうことが
あります。
新品の楽器の木材は乾燥しているため買ってすぐに長時間演奏すると管体に溜まった水分を急激に大量に吸収してしまうためすぐに割れてしまうことがしばしばです。
そんなことがおこらない様に木部をゆっくり湿気・水分に慣らしていく作業が慣らし吹きです。
2_楽器を吹き込んでクセをつけ自分にとって吹きやすい楽器に育てる
誰かが使った楽器にはその人の「クセ」がついていてなりが悪い。
なんて会話が巷で囁かれています。
例えばAさんが吹いているクラリネットをBさんに貸して、帰してもらってからAさんが服と楽器の鳴りや吹きごこちが変わってしまっている、なんて現象がこのクセというものです。
原因は諸説あるのですがこれはまた別のお話。。。
今回は『1_楽器の管体木部を湿気(水分)にゆっくりと馴染ませ割れを防ぐ』
という目的の慣らし吹きについてご紹介。
慣らし吹きのやり方
慣らし吹きと言ってもそんなに難しくありません。
ポイントはたったの2つ。
・最初はなるべく1日30分以上吹かない様にする。
・5~10分に一度スワブや羽を通し管内の水分を除去する
この二つです。
新しい楽器を買ってたくさん吹きたくてウキウキするかもしれませんが少しづつ、少しづつ楽器を育てる様に湿気に慣らしていくことが大切です。
鳴らし吹きを行う期間
鳴らし吹きを行う期間は大体1ヶ月程度を目安に行うことが多いです。
「今週末本番だから新しく買ったこの楽器でたくさん吹いちゃおう!」
なんてシチュエーションが一番危険です。
絶対に使いたい日から
何度も言いますが、少しづつ、少しづつ楽器を育てるイメージを持つことが大切です。
しかししっかり慣らし吹きを行っても割れてしまうことがあります。
鳴らし吹きを行っても割れる?
鳴らし吹きを行っても割れてしまう原因は以下です。
・音程を上げるため管体の温度を高めようとし息を管内に吹き込む
・ストーブや冷房などで楽器に急激な温度変化を与える
・木部が破損する衝撃を加える
・管体に水分や薬品をかける
・楽器が湿気に慣れていく過程で木目の入り方が由来して仕方なく割れる
などです。
基本的には気をつけていればある程度の割れは予防できますが、最後の事由の木目による由来のものはどうしようもありません。
楽器を販売している専門家としてもどんな楽器が割れにくいか、は正直見分けることができません。
ただプロの奏者の方から聞いたことがあるのは
「自然な割れは木が形状変化のストレスから解き放たれようと広がっているということ。つまり割れてストレスが無くなった楽器はストレスから解き放たれて鳴りが良くなる」
というお話。金属系の楽器ではその様な話(加工硬化)は物理的に証明できているので木管楽器でもそういう説があっても何ら不思議ではありません。
ただ、不注意による割れは楽器を痛めつけているだけに過ぎません。
割れたまま吹いているとどんどん楽器の割れが大きくなっていき吹きづらい、もしくは音が出なくなることもあります。
ひどい場合には楽器管体の木部の交換が必要になりウン十万円の費用がかかる可能性もあります。
そうならない様にしっかりと慣らし吹きや気をつけた行動を行っていきたいですね!
しっかり育てた相棒とぜひ楽しい音楽ライフを送ってください。
ブラステック白山