facebook twitter instagram

【Pick★Up】SX90R”Black Nickel”/Julius Keilwerth(ユリウス・カイルベルト)

2022/04/09 04:39:47

こんにちは、こんばんは、ごきげんよう。

ブラステック白山の丸七です。

今回は当店のおすすめの管楽器をフューチャーして紹介する【Pick★Up】のコーナー。

本日はドイツの老舗サックスブランド、Julius Keilwerth(ユリウス・カイルヴェルト)の主力モデル、SX90R BlackNickel Alto をご紹介いたします。

私も普段、LIVEなどで使っているブランドなのでユーザー目線からのレビューもさせていただきます!

▼Julius Keilwerthのブランド紹介はこちらから。

<目次>

1_SX90R Black Nickel ってどんな楽器?

2_SX90R Black Nickel の長所

3_SX90R Black Nickel の短所

4_SX90R Black Nickel の活躍するジャンル

5_今回の入荷個体の特徴

6_おすすめのセッティング

1_SX90R Black Nickel ってどんな楽器?

SX90Rブラックニッケル


SX90R BlackNickelは カイルベルトの高級ライン、『SX 90-R シリーズ』のメインモデルです。
このシリーズは管体のトーンホールにロールドトーンホールを採用しており一般的に有名なセルマーやヤマハ、ヤナギサワとは全く趣の異なったサウンドを持っています。

SX90R BlackNickel はモデル名の通り管体表面にブラックニッケルのメッキコーティングを施してありクールな外観と独自性の強いサウンドが人気のモデルです。

大体カイルベルト を購入される方は「ついつい時間があるとカイルベルト のカタログ見ちゃうんです。カタログがもうこんなにボロボロになっちゃいました。笑」とカイルベルト の魅力に強く惹きつけられてしまう方が多いです。
僕もそんな一人でした。笑

それではSX90R BlackNickelのディティールについてみていきましょう。

2_SX90R Black Nickel の長所

なんと言っても一番の長所はロールドトーンホールでしょう。

SX90Rブラックニッケル
トーンホールの先端が丸くなっているのがロールドトーンホールの特徴です。

このロールドトーンホールはタンポとトーンホールの接地面積を増やし、機密性を高めます。

それによってファットで暖かいミッドブーストされたヴィンテージのCONNの様なサウンドが楽しめます。

これには高い製作技術が必要とされ手間と時間がかかるので大手3大メーカーのように大量生産が難しい部分もありますがそんなことなどお構いなしにロールドトーンホールを作り続けているところに強いこだわりを感じます。

▼ロールドトーンホールについてはこちらのBlogをご参照ください。

ロールドトーントール以外にも管体表面のブラックニッケルメッキ仕上げにもこだわりがあります。

カイルベルト  SX90Rブラックニッケル

多くの他メーカーはブラックニッケルメッキを行う際は真鍮の管体に直接ブラックニッケルメッキ処理を行います。

しかしカイルベルト のブラックニッケルメッキは一味違います。

管体にまずシルバーニッケルをメッキコーティングします。

ブラックニッケルだけだとサウンドのエッジが強く出過ぎる傾向があるため、事前にひと手間かけシルバーニッケルコーティングを行うことでカイルベルト 特有のサウンドのバランスを図っているのではないかと思われます。
シルバーニッケルメッキの後にブラックニッケルメッキを行います。そのせいか、カイルベルトブラックニッケルメッキは仄かに青黒く「上品な黒」を演出しています。

その後音をまとめるためのクリアラッカーで最終仕上げを行います。

ニッケルメッキのみだとニッケル特有の角が立つような倍音が多く硬い音になってしまうためラッカーで柔らかさと艶やかさをコントロールしています。

これで管体表面の仕上げは完成となるのです。

3_SX90R Black Nickel の短所

短所に関してはもはや好みの問題となってくるのですが、それもまたロールドトーンホールだったりします。

ロールドトーンホールを持つ楽器は基本的にファットで太いサウンドを持つのですがジャズシンガーの様な「ハスキーな倍音」が多くなります。

そのためはハスキーなサウンドを求めていない純なクラシックプレーヤーには場合によって好まれないケースもあるかもしれません。

ただ、ハスキーな音の成分はJAZZやPOPS、FUNKや演歌などのジャンルでは『味』として好まれる極上の倍音成分です。


もう一つの短所は「 価格 」です。

カイルベルト は多くの製作工程を職人の手作業で行っているため金額が一般的なサックスよりも高く設定されています。
このSX90R Black Nickelも例外ではありません。。

車に例えると…ヤマハがトヨタであればカイルベルト はBMWかメルセデス・ベンツと言ったところでしょう。

ただその分、カイルベルト を所有する喜びはひときわ大きいものです。

4_SX90R Black Nickel の活躍するジャンル

このSX90R BlackNickelの面白いところは使うマウスピースの材質で性格が大きく変わるところです。

私も初めて試奏した時に口元のセッティングによる音の変化にとてもびっくりしました。

JAZZなどで使用する標準的なラバーのマウスピース(バンドレン V16)で試奏した際はマイルドでファットなヴィンテージのCONNを感じさせるサウンドでした。

しかしそれをメタルのヤナギサワ(SP #5)に変えて吹いてみるとキレやエッジ感が非常に強く出ました。

これらは[ ニッケルメッキ+ラッカーフィニッシュ ]から生まれた特別な性格なのではないかと私は推測します。

なので活躍するジャンルは「オール・ジャンル」という答えが正解でしょう。

トラディショナルなラバーのマウスピースではオーソドックスなクラシックなジャズや歌物なんかが最適でしょう。

打って変わってメタルのマウスピースではソリッドなサウンドになるのでFUNKやPOPS、ROCK、R&B、フュージョンなんかが向いていると思います。

マウスピースで大きく向いているジャンルが変わってくれるのがこのSX90Rです。

面白いですね。。。

5_この入荷個体の特徴

カイルベルト  SX90Rブラックニッケル

この個体に関しては中音域の音のコシが強く、いろんな楽器混在するバンドの中に入っても音が埋もれてしまうことのないポテンシャルを感じさせてくれます。

吹き込んだ際の抵抗感は10段階評価で言うところの<6>、息をクッっと受け止めてくれる安心感があるため強く息を入れてもオーバーブローすることなくラウドでボリュームのある音を出すことができます。

指周りのレイアウト/セッティングもちょうど良く手の小さな方でも特に問題なく操作できると思います。

トータル的な評価としてはバランスに富んだ個体だと思います。

6_おすすめのセッティング

セッティングに関してはもう、、奏者の好みです。。

というだけではあまりに雑なブログになってしましますので3パターンに分けてお勧めしたいと思います。


▼キレッキレのエッジを効かせたフュージョンやスムースジャズ向けのセッティング

Gottsu ユッコ ミラー

<SET>

・Gottsu HL2018 #5

・上記付属のリガチャー

・Vandoren Red JAVA 2 1/2


こちらのセットのマウスピース、HL2018 はピンクの髪のイケイケサックス奏者で有名なユッコ・ミラーの愛用モデルです。

古き良き時代のデュコフのマウスピースから構想を得たキレッキレなサウンドが特徴です。

雑味がないシャープでファジーなサウンドに仕上げ雰囲気を出したいので赤JAVAの2 1/2をチョイスしました。

サブトーンと織り交ぜて吹くと他のマウスピースでは味わえないセクシーさを楽しめます。

▼スタンダードJAZZや歌物におすすめな王道セッティング

メイヤー ジャズ

<SET>

・MEYER RUBBER 5MM

・Vandoren OPTIMUM GP

・Vandoren JAVA 2 1/2


こちらはジャズアルトの超定番、メイヤー5MMのセットです。

メイヤーは明るめの傾向があるのでブラックニッケルと合わさると変に角が出てしまうこともあります。

そのためサウンドを少しマイルド傾向に仕上げてくれるVandorenのOptimumをチョイスしました。

カイルベルト の持ち味の中音域のブースト感が欲しいのでややこしのあるJAVA 2 1/2をチョイス。中〜上級者はVandoren V16の 2 1/2でもいいかもしれません。

▼ALL ジャンルこれでOKな潰しの効くセッティング

ヤナギサワ メタル

<SET>

・YANAGISAWA METAL SP #5

・上記付属のリガチャー

・Vandoren JAVA 2 1/2


こちらはジャズアルトのメタルマウスピースの王道、YANAGISAWAの五番のセットです。

ヤナギサワのメタルは比較的ダークで落ち着いた性質を持っているのでのスタンダードなジャズからフュージョン、POPS、ROCKとオールマイティーにこなすことができます。先程紹介したHL2018と比較すると「シュワっ!」っとした倍音は減りますが中音域の艶、厚み、輝きが増えます。

個人的にはこの組み合わせが一番グッときました。
奏法を変えることでで喜怒哀楽を表現しやすく吹き易さも◎

秀逸な組み合わせです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

カイルベルト はサックスをしていても知らない方がいるちょっぴりツウなハイラグジュアリーなブランドです。

なんて言ったて販売価格はセルマーよりも高いですからね!

しかしそのポテンシャルはハリボテではなく吹き込めば吹き込んだだけ奏者のプレイに喰らい着いてきてくれるパワーを持っています。

一、カイルベルト ユーザーとしてカイルベルト に、SX90R Vintage に興味を持っていただけると幸いです。

カイルベルト SX90R Black Nickelの詳しい写真はこちらから…

▼Alto SX90R BLACK NICKEL_SHOP PAGE

カイルベルト  SX90Rブラックニッケル

JULIUS KEILWERTHの魅力と歴史。

Written by
Natsuki Marushichi

ブラステック白山

タグ: , , ,
お問い合わせ
076-259-6872
(10:00~21:00 定休日なし)

お知らせいただいた個人情報について
当店は石川県公安委員会より正式に古物販売の許可を得ていますので、お客様の大切な楽器をお預かりしたうえで、安全に販売することが可能です。
古物商許可番号 石川県公安委員会 第511010008228号

Recommend Brand

Shop Info