調律師 今村晶人の視点
こんにちは、
ピアノクラウド富山の吉田です。
今日は、
県内のピアノ指導者、公共ホール、
そして、一流のピアニストからも信頼が厚い
弊社 嘱託調律師 今村晶人さんが
お客様と待ち合わせのためピアノクラウド富山に。
待ち合わせの時間より、早めに到着、
そして、紹介予定のグランドピアノを事前にチェック。
その時に、いろいろ面白いお話が聞けたので
ちょっとだけですが、ご紹介いたしましょう。
今村さんに言わせると、
これだけ、毎日のようにグランドピアノを診ていると
些細な違いが違和感としてすぐにわかってしまうとのこと。
例えば、このグランドピアノの場合、
私たちの店に入る前、前のユーザーさんが
オーバーホールをしておられました。
それはすでにわかっていたのですが、
そこから先です。
「ほら、このフレーム、わざわざ******」
「それにこの響板、****** 結構手が入っているよね」
「うん?このチューニングピンは******」
「ほら、この部分、隣のピアノと違うのわかる?」
「なるほど・・・ということは、このピアノをオーバーホールしたのはあの技術者に違いない」
と、まるで名探偵ホームズ。
私たちが気づかなかったことが次から次へと。
今村さんに言わせると、ジッと探しているわけではなく、
もう気配みたいな感じで伝わってきてしまうとのこと。
いやいや、聞いていて面白かったです。
また、歴代のヤマハグランドピアノの
カタログには載っていない特徴なども教えていただいたり。
このあたりは、メーカーは絶対にコメントしたりしませんもんね。
今日聞いた話は、店の品揃えや、品質向上の参考にさせていただきますね。
えっ? そんなことより、伏字の部分は何かって?
ナハハハハ・・・・。
まあ、いいじゃないですか。
本人の了解はいただいていませんが、画像を撮らせていただいたので、
少しだけですが、その時の様子を。
ところで、調律師さんの左手って、ピアニスト並みに速く動き、
ピアニスト並みにきれいな音が出ているのをご存知ですか?
※右手はチューニングハンマーを持っているので左手で音を出すことが多い
先日blogで紹介した、『あすなろ宮廷音楽会』。
その時の調律師、齊藤達朗さんに競争を持ちかけたことがあります。
齊藤さんの左手と、私の右手。どっちが速く鍵盤の端から端まで走らせることができるか。
結果は・・・齊藤さんが全部弾き終わった時点で、私はまだ半分くらい。
今もそんなに変わりませんが、無邪気というか幼稚というか(注:私のことです)・・・35年くらい前の話です。
そして、音。
その 『あすなろ宮廷音楽会』で齊藤さん調律されていたとき、
今さらですが、その左手からとてもいい音が出てると思ったので思わず
「齊藤さんが弾くと、凄くいい音ですよね」 と言いましたら
「そりゃあ、そうやろ。いい音出せんにゃ、いい調律できるわけないないか」
!!!!!! そうか・・・そういうことか、と当たり前のことを教えてもらいました。
今日も、今村さんは左手で全部の音を1音づつ弾いたり、両手で和音を鳴らしてみたり。
その音を聴きながら、やっぱりいい音が出てるなと。
いえ、ただそれだけのことなんですが。
余談ですが、グランドピアノを部屋に設置する場合、鍵盤手前から後ろの壁まで80cmくらい必要、と約30年前に教えてくれたのは今村さん。
これは、演奏者と椅子との位置関係ではなく、このように、調律師がアクションを膝の上に乗せて作業するとき椅子を引くので、それだけの距離が必要だから。
巻き尺を持ってきて計り 「うん、80cmやな」と言葉を交わしたのがついこのあいだの様。
今村さんの調律鞄は他の誰よりも小さい。
その一番大きな理由は・・・・・グランドピアノの調律しかされないのでアップライト用の工具を入れる必要がないから。
確か、20代半ばくらいですでにコンサートチューナーの資格を取得。
ちょうどそのころ、射水市の太閤山ランドで伝説のジャズフェスティバル
(メインスポンサー:日本たばこ産業 バブルと言われていた時代、ミュージシャンは海外から超一流が集結。私も毎年欠かさず、大量のビールとオードブルを持ち込んで、観に行ってました)
が毎年のようにあって、今村さんはそのピアノを調律。
その頃はまだ今より大きくて、革製の調律鞄を使用、
そして、それに出演していた
ハービー・ハンコックのサインが入っていたのを
今でも憶えているのですが…あの鞄はどうなったのかな?
今村さんに関する興味深い話は他にもあるのですが、
それは、またいつか・・・。
タグ: MPC, ピアノ, ピアノクラウド富山, 今村晶人, 楽器センター富山, 調律, 開進堂楽器ピアノクラウド富山