芸術家の才、環境と育つギターブランド Mary Guitars 　【 Made in Japan 】

Made in Japan

日本独特の地形や気温変化などの環境、古来から伝承される産業文化、異国から取り入れ独自の進化を遂げた技術、ジャパニーズギターブランドには、演奏するだけでない楽しみが様々。

本ブログでは、Blue Guitarsがおすすめする日本製ギターをご紹介いたします。

Mary Guitars　(メアリーギターズ)

　同メーカーは、富山の隣県、岐阜県大垣市に工房を構えます。個性あふれるラインナップのデザインしかり、工房の空間デザインしかり、まさにデザイナーの住まうアトリエそのもの。オリジナルで設計されたギターの製作とリペアを丸井優希 氏が担います。

Designer Guitar Bilder 丸井 優希

Mary Guitarsは彼、丸井優希が全てを創造し、人生に彩りを持たせる作品を製作している。

彼がギタービルダーとなった人生の旅路の中で、彼の祖父、父の影響を多分に含んでいます。
祖父は画家であり父はデザイナーとして活躍。その家庭環境のなか幼少期から絵を描くことを生活の一部としていた為、自然と芸術家を志すようになったことがはじまり。

芸術分野の中で独自の感性で表現をしたいと思ったのが「音楽」さらにはギターといったピンポイントなところ。一種の芸術品を創りあげるクラフトマンに憧れを持ったのがいわば「Mary Guitars」の始まりと言えます。
後にESPギタークラフトアカデミーにてギタークラフトを基礎から学び、株式会社ディバイザーに入社。ドメスティックブランドの生産に従事していました。退社後、培った技術を基に本ブランド「Mary Guitars」を設立し現在に至ります。

一時、ESPにて製作講師を兼任していた経歴も持ち、ギター製作の視野を、芸能的目線と技工的目線、さらには技術者育成という分野から日々広げながらデザインします。
現在では当店Blue Guitasと同様GEN (Gakki Engine Of Nippon)に加盟しています。

Mary Guitars
Vispa Donut-J2 – Indigo Blue Metallic

Mary Guitars Vispa Donut-J2は、Vispa Donut DesignのJMタイプピックアップ搭載モデル。

Mary Guitarsは丸井氏のオリジナルデザインで全て構成されていますが、Vispaはその中でもStandard Modelに位置づけされ、より多くのギタリストに楽しんでいただけるよう生産性を考慮したモデルとなります。生産性の最たるポイント、ヘッドアンクルのデザインはストレートヘッドを採用。ハードメイプルの素材調達の点と、塗装、ナット、フレットの仕上がりの観点から採用しています。ただシンプルなストレートヘッドというだけでは無いのがMary Guitarsの凄い点。ヘッドバッグをご覧いただければこだわりが見えますが、ヘッドボリュートがヘッドバックからフラットにつながり耐久性とヘッド鳴り、さらには加工精度の向上に貢献しています。
生産性を高めるといっても、デザイナーでありギタービルダーである為、自身が手掛けるからこそ拘りの形を造ります。丸みの強く小ぶりなアウトラインにベベルを入れる凝った設計。これが丸井氏の譲れない拘りを感じます。

ウッドマテリアルはシンプルにまとめられ、ボディにアルダー、ネックにハードメイプルとインディアンローズウッドを採用します。ピックアップにはKariyaのJMセットを搭載。
サウンドはウェットでありつつもハリのあるレスポンスの良い印象。2.64kgという重量であるが故スピード感があり、気持ちの良いサスティーンを得ることができます。これを実現するためのパーツセレクトとして一貫して「Gotoh ST31」の超軽量マシンヘッドを採用します。

アンプアウトでの印象は、素直で鈴鳴り的、厚いミドルを持ちながらもハイパスを活用した、ガラスの様な綺麗さと唸るローの感覚。ストロークではJMピックアップの特性とハーフトーンのサウンドが出ますが、アルペジオになると一変し、線の細さ繊細さ、入力に対するレスポンスの変化が顕著に表れます。

サイズの大きいJMタイプのピックアップを搭載するギターは比較的大柄なボディの印象で、ここまでのボディサイズにセットで搭載するモデルは数が少ないイメージです。樹脂成分が多くなるところを絶妙なバランスで設計されたピックガードが合わさることにより、ある種の高級感を演出されます。

今回のオーダーの拘りは、当店Blue Guitarsが拠点を置く富山県の伝統産業と、それを重んじ製作するstilbluの存在、Blue Guitarsの解釈をIndigo Blue MetallicとピックガードのChampagne Goldで表現いただきました。彼のセンスにて構築されたこの一本は、ルックスとサウンド両面から神妙な雰囲気を漂わせるMary Guitarsらしい一本となりました。
カラーの選択には彼のデザイナーとしての拘りが非常に感じられ、打ち合わせの段階で青と金真鍮の表現から絞り出されるカラーパターンの多彩さと、そこから絞り込まれた彼がしたいと思う世界観の表現が、彼らしさと単純に言い表せない美しさとなってみる人を魅了します。

Written by

Ryota Hayakawa

Blue Guitars

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