ROOTE8 サックスとは。【夏音2022】
…田舎の楽器店で愛を込めた自社ブランドの管楽器を作れないか?
そんな漠然としたチャレンジから始まったROOTE8/楽器製作プロジェクト。
今まで楽器店規模で自社ブランドの管楽器を展開できたのは資本力のある都会の大手楽器店だけでした。
ナショナルブランドの楽器を販売しそれぞれのブランドのアイデンティティと音楽を奏でる楽しさを世の音楽愛好家に伝え普及していく、それが私たちの仕事であり使命でありました。
しかし、私たちも音楽に、楽器にかける思いやアイデンティティを発信して行きたい。新しい価値観を作り上げたい。
北陸という地方に展開する私たちも管楽器に対する愛、技術に対する想いは都会の楽器屋さんには負けていないはず。
そんな思いを元に楽器製作に挑み始めました。
第一弾として製造を行なったのはサックスでした。
<目次>
- ROOTE8サックスのコンセプト
- 高い精度を誇るトーンホール
- 昔ながらの伝統的なサテンシルバーフィニッシュ
- クイックなレスポンスを実現する管体の軽量化
- 企業秘密のサーモシーズニング
- 所有欲を満たすデザインと佇まい
- ROOTE8サックスの3つのシリーズ
ROOTE8サックスのコンセプト
ROOTE8のコンセプトは 「歌うようにいつまでも吹いていたくなるサックス」 です。
楽器を演奏する上で一番大切なものは「歌心」だと私たちは考えます。その歌心を表現するために試行錯誤を重ね、完成したサックスがROOTE8です。
私たちはキイの各所やパッドの調整、管体の仕上げのなどの目に見える箇所はもちろん、一見目につきにくいディティールに至るまで独自の感覚とこだわりを持ってサックスを製作しています。
高い精度を誇るトーンホール
トーンホールは楽器のクオリティを決める非常に重要な箇所。トーンホールの製作精度を最大限高めと管体の気密性が向上させ、吹奏時の抵抗感を減らし、ピアニッシモなど小音量から大音量のフォルテッシモまでダイナミクスにおいてもしっかりと奏者のイメージに追従します。
昔ながらの伝統的なサテンシルバーフィニッシュ
ROOTE8サックスのフラッグシップモデルであるModel Authenticシリーズでは管体に施した銀メッキに直接サテン加工を施すヴィンテージのサックスに施されていたサテン加工の技法を採用しております。残念なことながら現代の多くのサックスに施されているサテンフィニッシュは加工や管理の都合からメッキの上さらにラッカーをかけ、そのラッカーにサテン加工を施すことが多くなっています。しかしそれでは<銀メッキ+サテン仕上げ>の魅力を十分に発揮することができません。ROOTE8サックスで表現したいストレスフリーな吹奏感、ハスキー&スムースなサウンドの確立するためには直接銀メッキにサテン加工を施すことが必須事項なのです。
クイックなレスポンスを実現する管体の軽量化
ROOTE8のコンセプトである「歌うようにいつまでも吹いていたくなるサックス」に必要不可欠な「ストレスフリーな吹き心地」「クイックなレスポンス」という要素。これを実現するため突き詰めていったのが楽器の重量です。楽器全体の重量が増えれば増えるほど吹奏感が重くなると考えられています。しかし軽量化しすぎると今度はサウンドがチープなものになってしまいます。ROOTE8のサックスではレスポンスとサウンド両面のパフォーマンスが最大限に発揮される重量に仕上がる様パーツのサイズを調整いたしました。
企業秘密、サーモシーズニング
サックスは金属を曲げたり、穴を開けたりする過程で金属に多大なる負担が生じています。
これは一般的には加工硬化と呼ばれ加工が施された箇所の金属は同じ素材であっても部分的に硬くなってしますのです。一つの管体に硬いところと柔らかいところで点在してしまうと吹奏感や音域ごとの音色のバランスに悪影響出てしまいます。この加工硬化を軽減させるために管体に温度による加工がサーモシーズニングなのです。人間の長い金属加工の歴史から温度の変化による金属の組成の変化が発見されました。この古来からの技術を応用したこのサーモシーズニングによって全音域、吹奏感において整った統一感を成すことができたのです。
所有欲を満たすデザインやたたずまい
せっかく楽器を作るなら誰かのお気に入りの1本になる楽器を作りたい。
これはモノヅクリに取り組む者の憧れであり夢です。それには楽器の性能だけでなく惚れ惚れする様なルックスもまた重要なファクターとなります。ROOTE8のサックスではそれぞれのシリーズごとにコンセプトを決め製作を行っております。
さまざまな歌心を提案する3つのシリーズ
歌心の色は人によってさまざま。ROOTE8サックスでは一人ひとりの音楽、歌心を引き出せるようなサックスをご提案させていただいております。
Model Authentic(オーセンティック)シリーズ
街中に走るレトロな車を見かけた時に感じるわくわくする気持ち。Authenticではそんな高揚感を感じさせるオールドファッションをデザインコンセプトとしています。1930年代に主流だったヴィンテージサックスのルックスを踏襲しレトロルックな外観が目を惹きつけます。
サウンドの面では、ほんのりとハスキーで色気のある響きを感じさせてくれます。それはまさに1950年代のマンハッタンのクラブで歌うジャズシンガーの歌声を彷彿とさせます。
Model Rustic(ラスティック)シリーズ
長年に渡って使い込まれた渋さや哀愁、無骨さなどの侘び寂びをコンセプトにデザイン。よくあるアンティーク調の塗装ではなく燻液に浸し化学変化で地金を変色させているアンラッカー(Raw Brass)の仕上げです。
アンラッカーならではの長年使い込まれたサックスのような鳴り、ヌケの良さが楽しめます。人生の酸いも甘いも知った老紳士のようなアジと包容力のあるサウンドに定評があります。
Model Sunny(サニー)シリーズ
現代のサックスの王道のラッカー仕上げ。管体を鏡面仕上げに磨き上げ職人の手作業によってラッカー塗装を行っております。輝かしいルックスさながらの艶のあるピュアなサウンドが楽しめます。
AuthenticやRusticとは大きく区別し、あえてクセの少ないサウンド、フラットなステータスになるよう設計しているため、吹奏楽からPOPS、JAZZまでオールジャンルにご使用いただけます。
職人のこだわりを持ってディティールを加工しサックスを製作していくことによって今日のROOTE8、いつまでも歌うよう演奏していられるサックスが完成したのです。ROOTE8をプロデュースするブラステックは現在12名の管楽器に造詣の深い技術者を有しており、各々の経験や知識を持ち合わせ、プロジェクトのスタートから今日まで研究と開発を続けております。
最後に。
サックスは180年ほど前にベルギーで生まれ、パリで楽器としての地位を確立しました。戦争や差別、ドラッグなどブラックな環境下でブルースやジャズといった音楽で愛され、いつの時代も人々を歌心で支えてきました。
私たちはそんな一人ひとりの音楽、歌心を引き出せるようなサックスをこれからも製作します。
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ブラステック白山