MPCピアノメンテナンスの安田です。
お預かりしたピアノの底で除湿剤が液漏れを起こしていました。
除湿剤には主に塩化カルシウムが使われており、空気中の水分を吸収して液体になる性質があります。ただし、ピアノ用の除湿剤は水分吸収後にゼリー状になるものが一般的です。
このゼリー状の状態では再び蒸発しないため、ピアノ内の湿度が上がることはありません。しかし長期間放置していると除湿剤が液漏れを起こし底板がゼリーまみれになります。
こうなると逆に湿度は高くなっていろいろな弊害が生じます。このピアノも金具の腐食のみでなく、打弦機構の動きが悪くなっていました。
サビの被害を受けた金具は全てヤマハ純正品に交換しました。純正品を取り寄せられるのは特約店の強みです。
底板を本体から外しました。金具にサビがびっしり付いています。
全てばらして汚れをできるだけ落としてから、サンダーをかけてシミを薄くします。
左右のペダルを支える金具。4つ付いていますが、全て純正品に交換しました。
真ん中のペダルに付いているバネ。これも交換しました。比べてみるとサビのひどさがよくわかります。
真ん中のペダルのカバーも交換。
外したペダルはすみずみまで磨きます。
組み立てて完了。浸透したシミが少し残るのは仕方ないですね。フェルト類も全て貼り替えてあります。
一般家庭では底板を外すことは難しいですが、同様の被害があれば作業の流れはほぼ同じです。
現在の除湿剤にも塩化カルシウムが使われている物がありますが、吸湿性非透水性シートで覆われていたりプラスチックのトレイに乗せられていたりなど液漏れ対策を施してあります。
ピアノ用の除湿剤は効果が無いという意見もありますが、定期的に除湿剤と防虫剤を交換しているピアノはそうでないピアノと比較して明らかに状態は良いので効果はあります。
ピアノの内部で不安があれば是非当社へお問い合わせください。