2021年7月18日
ピアノ調律師の安田です。
ヤマハアップライトピアノにはオーバーハングという構造を持つ物があります。
ヤマハのホームページには以下のような解説があります。
「アップライトピアノはその形の制約から、限られた響板面積の中で、十分な弦長を確保しなければなりません。中低音部の弦長を長くとるためには、低音部の巻線に変わるあたりの長駒をできるだけ響板の端に位置させる方がよいのですが、弦の振動を効率的に伝えるためには、逆に駒はできるだけ響板の中央寄りにあった方がよいのです。この相反する条件を調和させるために、駒の脚の部分を響板の中央寄りに位置させ、弦の接触する駒の上部は響板の端の方へ張り出した形にしたものがオーバーハング方式長駒です。」
これだけだとわかりにくいですよね。
そこでオーバーハングありなしの写真を用意しました。
オーバーハング構造を持たないピアノは次のようになっています。低音の端まで駒の太さは変わりません。
オーバーハングありだと低音にかけて少し膨らんでいます。隠れていて見えませんが、響板に接触している個所は少し中央に寄せています。
もうひとつの特徴は低音弦が少し短くなっていることです。これは中音部との弦の張力のバランスを取るためです。このためオーバーハングを備えたピアノは中音から低音への音色の切り替わりがより自然です。
この構造だけで劇的な変化が得られるわけではないのですが、ピアノを選ぶ際の参考にして頂ければと思います。