2021年7月10日
調律師の粟野です。
今回は前回のユニゾン調律の続き、1オクターブ違う2つの音を合わせる「オクターブ調律」のお話です。
よく弾く真ん中あたりの音から1番高い最高音のドの音までは、ひとつの音に弦が3本張ってあります。オクターブ調律では1オクターブ離れた音同士を合わせます。例えばドとその1オクターブ上のド、次は半音上がってド#とド#…のような感じです。
調律する時は2つの音を聴いて音を合わせていくのが基本。オクターブ調律の時は、3本のうち真ん中の弦の音だけ聴いて合わせています。この赤いフェルトはロングミュートという道具で、左右の弦の音が出ないようにするために弦に編みこんでいます。
真ん中の音が調律できたら、左右の弦を片方ずつ真ん中と同じ音程に合わせます。これは以前説明した「ユニゾン調律」になります。
ピアノは7オクターブ+3鍵の88鍵で出来ています。ということはオクターブ調律を何回しているのでしょう?計算してみたら、なんと76回!思ったより多くて、びっくりしてしまいました。